No4 30センチも糸をひく蓮根  (2006.1.13)  福岡県うきは市流川  蓮根農家 上村英明さん
 かねてからオイシイとうわさはきいていた、「流川れんこん」。縁があって、流川地区で蓮根農家を営んでおられる上村英明さんをたずねることに。雪が舞う、ものすごく寒い日だった。ほんとうなら、上村さんといっしょに蓮根堀りをおこなうところだったのだが、前日が雪で泥がかなりぬかるんでおり、「こりゃー、あんたたちがはいったら出てこれんやろ」ということで、蓮根を掘る上村さんの横で、板の上で掘る様子をみせてもらった。(そういう上村さんは、まるで忍者のように、ぬかるんだ泥のうえをさっさと渡る、さすが。)
                  
 取材が終わった頃、ものすごく冷え込みだした、時間は、夕方。わたしたちも、まる2時間、雪が舞うなかにつったっていた。足の先は、凍りつきそう。こんな寒い中、お正月前にした収穫の最盛期は、泥の中、7−8時間もくもくと蓮根を掘るという。ものすごく大変な作業である。なにせ、1本の蓮根をほりあげるまでに、腰まで泥のなかにはいり、手作業で泥をかきわけ、とても時間がかかるのだから。感謝して、ヲイシク、食べよう、と思う。
 
上村さんにきいたおいしい食べ方
■浮羽のあたりでは、「がめ煮」といえば、このれんこんと鶏肉だけだそう、他にさといもやにんじん、大根、干ししいたけなどが入る博多スタイルとは異なる。洗って、皮をむいて、乱切りにして、鶏と水から炊き上げるとか。「この食べ方が一番おいしいよ」と上村さんの奥様が笑いながら教えてくれた。
30センチも糸をひく!
■「これをなあ、丸ごと真っ黒になるまで焼いて、ごまじょうゆで食べるとうまいんだよ」と帰りぎわに上村さんがこそっとおしえてくれた。へー!れんこんまるごと、なんて初めて。かえってごしごしとたわしで泥をおとして、丸ごと焼いてみた。焼いていると、れんこんの穴から湯気がでてくる、これがおもしろくってみいってしまう。焼けたあと、まんなかから割ると、すーーっと何本も糸をひく、えっー?30センチくらい!すごいや。なんにもつけずにかじると、自然の甘みが口のなかにひろがる、旨い!なにも調味料がいらない。
糸の正体と蓮根の栄養
■この糸の正体は、ムチン、という。糖タンパク質の一種で、やまいも、オクラなどのねばねばといっしょ。このムチンは、胃腸を整えてくれ、たんぱく質の消化の手助け、滋養強壮にもよいすぐれもの。
よく「蓮根はきったら、酢水につけなさい」というけれど、これは、しゃきっとさせるために、酸(酢)を加えて粘性(ムチン)を断ち切ってしまうことにより、歯切れをよくする。また、酢水につけることで、黒っぽくなることを防ぐ働きもある。ただ、「しゃきしゃき」させたい以外の料理には、やる必要がない。また、きったままにしておくと黒っぽくなる、このアクは、タンニン、といって、これまた胃腸系によい。栄養的には、アクもいっしょに料理してしまう、これが一番なのかも。
■また、以外なのが、多く含まれるビタミンC。普通は熱に弱いのだが、れんこんはでんぷん質が多いために、加熱しても相当量のビタミンCが残る。貧血予防になるビタミンB12も豊富。風邪の予防や、肌を美しくするには、もってこいの冬の食材。また、不溶性の食物繊維もおおく、便秘解消にも。
■中国では、葉や実や、蓮のすべてを食用、薬用としてつかうとか。葉は、煎じて、お茶に。また、節のところは鉄分など、栄養の宝庫。ちょっと苦いので、すりおろして、スープなどにいれ、濃い目の味付けに。

蓮根は魅力たくさんの食材 
■ しゃきしゃき、だけが蓮根の魅力ではない。これは、すりおろすと、むちむちっとなる。(もちろん、酢水にはつけないで。黒くなるのが気になるときは、水につけて変色を防いでください)片栗粉や卵をくわえてれんこんバーグや、スープをつくると、とってもおいしいです。
 過去紹介したれんこんレシピ 
  No165もちもちレンコンもち*レンコンスープ 
  No74れんこんステーキ 博多フウ

蓮根、ジツハ根ではない、茎
■「蓮根」とかくので、根とおもっているかたがおおいとおもうのだが、食用としている部分、これは、水生植物である「はす」の地下茎が肥大している部分である。
。蓮根のなかでも、一番古い節は、細く、若いほど太くて柔らかい。また、節から子供、孫の蓮根がどんどんでてくる。

蓮根の保存方法をたずねました
■もちろん、泥つきのままが一番よい。新聞紙にくるんで、湿らせておくことが大事。1週間から10日は大丈夫。カットした場合は、きりくちをラップして、野菜室へ。
この「わしがつくった!」のコーナーは、西日本新聞 生活・ヒューマン欄に「野菜ソムリエが行く」というタイトルで2006年1月より連載がはじまりました。農家さんを取材したレポートとその素材を生かしたレシピと写真を掲載しています。九州のいろんな農家さんをめぐる予定でいます! 毎月 第2 金曜日の掲載です。
■BACK NUMBER■
第1回は「いちごはお姫様!」福岡県朝倉郡のいちご農家、鶴本さんの取材
第2回は「とうもろこし(スイートコーン)が生で食べれる??熊本県八代のゆたかファーム
第3回は「大ちゃんのピリカラ大根 ぴりから大根」福岡県夜須町の岡部農園